掲載日 2024.04.14
障害者雇用枠での就職や転職を考え、履歴書を準備する際に、志望動機に何を書くかは、重要な事項です。書き方ひとつで採用、不採用を大きく左右します。
障害者雇用枠での志望動機は、何となく書き始めるのではなく、希望する企業を研究し、自分の今までの経験をきちんと整理した上で、準備してから書くことが大切です。
また、自身が持っている障害の特性を相手に知ってもらい、合理的配慮などでの対応が可能か確認しておくことも必要です。
この記事では、
志望動機を書く前に行う3つの重要事項
障害者雇用枠の志望動機の書き方とそのポイント
状況別志望動機の考え方
職種別志望動機の例文
について解説します。
就活における自己分析では、自分の特長や長所・短所、価値観を把握・分析することで就活での『強み』を見いだしていきます。
自己分析をすることで自分の長所や短所などの特長を見つけ、自己PR・志望動機を具体的にすることで、転職活動においてのスタートラインを定めます。
また、自分自身の価値観を明確にすることで、将来の目標やキャリアプランを決めて転職活動においてのゴールを決めることも可能です。
自己分析をすることで、
具体的なエピソードで自己PR・志望動機の説得力を高めることができる
特長を見つけることで回答に一貫性を持たせやすくなる
仕事選びのミスマッチを避けることができる
といったメリットがあり、自信を持って転職活動を進めることができます。
参照元:自己分析とは|マイナビ新卒紹介|新卒学生向け無料就職エージェントサービス
応募先の企業についてどのような業界・職種であるのかを分析しましょう。
まずは、世の中にはどのような業界があるのかを調べることから始めます。
業界の数は多いため、効率よく調べていくために、業界ごとの特徴を知り、業界の構成図を理解しましょう。
また、将来のキャリア形成に大きく関わる業界の成長性・安定性の分析も行います。
興味を持った業界や、気になる職種を見つけることができたら、次は企業について研究していきます。
業界での位置付けや企業規模、どんな商品やサービスを扱っているかなど、同じ業種の別の企業と比較してみることも大切です。
障害者雇用への考え方や価値観はどうかも重要なポイントになるでしょう。
企業は、「なぜ数ある中から我が社を選んだのか」ということを知りたがっています。
同業他社ではなく、この企業だからこそ応募したという理由を見つけるためには、先に企業の研究をしっかりしておく必要があります。
また書かれた志望動機を見て、どれだけ企業のことについて勉強をしてきたのかということも、担当者から確認されている場合があります。
さらに「この企業で自分は何がしたいのか」ということもきちんと説明ができると、より回答に説得力を持たせることが可能です。
希望する企業の職種での経験がある場合は、そのスキルや自分の強みを活かして企業に貢献できること、今後やっていきたいことを具体的に書きます。
どこの企業に提出しても使えるものではなく、企業研究と自己分析の結果を踏まえて、この企業だからこそできるということをアピールします。
さらに根拠をつけて、説得力を増した独自の内容にする必要があります。
障害をオープンにして働く場合、企業側に合理的配慮を求めることは権利として認められています。
参照元:チラシ「障害者差別解消法が改正に 事業者にも合理的配慮の提供が義務化されます」 - 内閣府
障害による特性によって生じる症状や、それに応じて対応してもらいたい配慮を具体的に書きましょう。
「できない」とはっきり書くのではなく、服薬する薬や短時間の休憩時間を挟むことで問題なく勤務継続できる場合など、「こういう対応、サポートを受けることができればできる」といった肯定的な内容で書きます。ただし、権利ばかりを主張することのないようにしましょう。
企業研究をすることで、企業が求める人材の人物像が見えてきます。
それを元に、自分の強みや経験の中から求める人物像に当てはまるものを見つけ、具体的にどういう場面で役に立てるのかをアピールします。
企業が求める人材とマッチすることで、他社ではなく自社で採用し、長く働いてもらいたいと考えられやすくなります。
前職での経験やスキルは強い武器になります。未経験の場合でも、今まで経験した中で、企業の業界・職種に関連することがあればどんどんアピールしてください。
成果や成績などについても触れていき、具体的な数字が示せるとなお良いでしょう。
今までの自分と企業との結びつきが強いことを伝えると、それが自然と志望動機の根拠になります。入社後は企業に具体的にこのような業務を通して貢献できるとイメージしてもらいやすくなります。
障害が原因でできないことがある際には、正直に企業にその内容を具体的に伝えましょう。
また、できないことだけを知らせるのではなく、どうすればできるようになるかについてもセットで伝えます。相手に障害があっても前向きにチャレンジしたい気持ちを主張するためです。
また、最初に自分の障害の状況や、症状などを知らせておくことで、入社後の企業とのミスマッチを避けられて、短期間での離職や解雇を防げます。
企業もあらかじめ聞いておくことで、合理的配慮の環境が整っているか確認したり、整っていない場合は準備を進めたりすることができます。
障害者雇用枠の職務経験がある場合、転職の際に次の転職先では譲れない「専門性を高めたい」「年収を上げたい」「負荷の軽い働き方がしたい」などの目的や価値観を持つことが大切です。入社後にどんな仕事がしたいのかが、見えやすくなります。
今までの経験を次の職場でどのように活かしていくのかについても考えてみましょう。
障害者雇用枠が未経験の場合、配慮を受けることで問題なく働けることを伝えます。
就労移行支援事業所に通ったことがあれば、そこで身につけた知識や経験を話しましょう。
具体的にどのような経験をしたのか、資格を取ったり、勉強していることがあればその内容を伝え、前向きな気持ちをアピールしてください。
また、一般雇用枠での経験がある場合は、一般雇用枠でも問題なく働いていたことをアピールできます。
入社後にどのようなことに携わっていきたいかを具体的に示すことで、これから勤務する中で成長し、企業に貢献できることをイメージしてもらいやすくします。
新卒で障害者雇用枠を希望する場合は、業界・職種の分析や自己分析の結果をもとに、なぜこの企業を選んだのか、企業のどのようなところに魅力を感じたのかという点について掘り下げます。
その企業に入社したら、どのようなことがしたいのかについても具体的に書けるように考えます。
そのために今まで取得した資格や、勉強中のことがあれば、それもアピールできるポイントになります。
学生時代に経験したことも、企業の業務内容に関連づけてアピールできることがないか棚卸しましょう。
事務職では、
パソコンを使った資料作成が中心
来客・電話応対
簡単な経理補助を任される場合
営業かつ社用車の運転も必要とされる場合
など、企業によって業務は多岐にわたります。
応募する企業の仕事内容をよく確認した上で、志望動機を作成しましょう。
例文)経験者 大学卒業後、「株式会社〇〇」で一般事務として採用され、英語での来客受付・電話応対を中心に経理の補助を担当していました。しかし経理担当だった上司が突然退職したことにより、経理の負担を一気に背負うことになり、頑張りすぎたことで心身ともに無理をしすぎてしまい、うつ病を発症するに至りました。 そんな折、貴社の障害者雇用枠での求人を発見しました。 業務内容が経理ということと、貴社の取引先に公用語が英語の企業もあるというところから、私の英語力や前職での経験がお役に立てるのではないかと思い、応募させていただきました。 症状は、以前と比べて通院回数が2週間に1回から1ヶ月に1回になったことなど、改善してきてはおりますが、 月に一度、通院のために半日お休みをいただく必要があることと、実働6時間までの時短勤務にご配慮いただけますと幸いです。 これまでの経験を活かして、真面目に一つひとつの業務と丁寧に向き合い、経理資料作成や月次決算の戦力として活躍し、英語が必要な取引先とのメールや会議などでのスムーズなやり取りに貢献できれば幸いです。 |
例文)未経験者 現職では、レジ打ちや接客を中心に、在庫の管理や品出しなどに携わっていました。 その中で、様々な業務に関わることの楽しさに気づき、もっと多様な業務に関わりたいと思っていた際に、貴社の求人を見つけました。 一般事務という枠にとらわれず、「チャレンジする人を応援する」という理念に大変共感いたしました。 パソコンはWord、Excelは問題なく使用できます。 片腕に障害があり、義手を装着していますが、普段の業務に支障はありません。 月に一度、装具のメンテナンスのために1日お休みをいただく必要があります。 レジ接客で培ったホスピタリティを社内でのコミュニケーションに役立て、 会社の発展に貢献できたらと思い、応募させていただきました。 |
例文)経験者 前職は、ファッションブランドのメーカーで販売員として2年間勤務していました。接客も楽しく、この仕事が向いていると思いやりがいを感じていましたが、病気を発症し1ヶ月休養。その後、後遺症で右半身を思うように動かせなくなり、退職するに至りました。 数ヶ月に及ぶリハビリで、少しずつ元のように動かせるようになってきたこともあり、また同じ販売の職に就きたいと思い、貴社の障害者雇用枠に応募させていただきました。 不定期で右半身に神経痛がありますが、現在は服薬することで症状を抑えることができています。右半身は左に比べて少し不自由な程度で、通常の業務に大きな支障はありません。 自分が障害者となったことで、障害者の方の立場に立った接客ができるようになりました。今までの販売経験と合わせて、貴社のお役に立てると思います。 |
例文)未経験者 私の母はファッションに関心が高く、幼少の頃から一緒にお揃いの洋服を買いに出かける機会があり、親切に対応していただいた販売員さんに憧れの気持ちを抱いていました。 自分は生まれつき内臓に障害があり、着脱がしやすくゆったりとした服装だと心地よく過ごせます。 特に貴社のブランドはそんな自分の条件にぴったりの着用感で大変気に入っており、親子ともにファンで、プライベートでもよく着用しています。 そんな貴社の障害者雇用枠での求人を見つけ、胸が高鳴りました。 障害の特性から、長時間の立ち仕事で疲れやすいですが、休憩時間を分散してとらせていただくことで解決できます。通院は必要ですが、休日に予約が取れますので問題ありません。 特に障害者の方に、自分の経験から貴社製品の着心地の良さを直接知っていただくお手伝いができれば幸いです。 |
例文)経験者 前職でも、家電製品の組み立て作業を行っていました。 作業にミスが少ないと高評価をいただきましたが、作業時間が短く、もう少し長い時間働くこともシフト的に難しいということで、作業時間が今よりも長い貴社に応募させていただきました。貴社は自宅から徒歩圏内にあり、通勤時間を含めると前職と拘束時間はそれほど変わらないことから、今後も無理なく長く働き続けることが可能です。 下肢に障害があることから、車椅子を利用していますので、業務上の同線には車椅子が通行できる程度の余裕が必要であること、車椅子用のトイレが必要であることについて、ご配慮いただけますと幸いです。 |
例文)未経験者 幼少期から家に荷物が届くと、喜んで梱包を解いていました。 中身によってダンボールの形や梱包の仕方に違いがあることにも興味があり、 ピッキングの作業にも興味を持ちました。 集中力は昔から高い方で、好きなことであれば食事をすることも忘れて没頭することができます。 発達障害があり、集中しすぎると疲れてしまうこともありますが、貴社の就業時間には定期的に休憩時間が組み込まれておりますので、その時間は意識的にしっかり休むことを心がけますので問題ございません。 同じ作業をいかに効率よくこなすかということには、必要なことはメモを取るなどして真剣に取り組みます。 風邪など病気にはなりにくい体質で、小学生の時にインフルエンザで寝込んで以来、寝込むほどの風邪を引いたことがありません。 自分の特性と健康で、貴社に貢献できると思い、応募いたしました。 |
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この記事では障害者雇用枠の志望動機の書き方を解説してきました。
障害者雇用といっても状況や希望する職種は様々ですが、
志望動機を書く前に
自己分析
業界・職種の分析
企業研究
をきちんと行うことで、何をどう書けばいいかが見えやすくなりました。
また、書き方や書くポイントについては、
選定理由・何がしたいか
経験やスキル・実績
障害による業務への影響
を具体的に書くことで、企業も採用後にどう働いてもらうかイメージが簡単にできます。
経験者と未経験者、新卒という状況別に志望動機を考え、例文から自分にぴったりの志望動機をうまくまとめていただけると幸いです。
この記事が、採用される履歴書の作成に少しでもお役に立てることを祈っています。