障害者雇用の問題点から見えるデメリットとは?メリットも合わせて紹介 | 障がい者向け求人ディンプルチャレンジ

障害者雇用の問題点から見えるデメリットとは?メリットも合わせて紹介

掲載日 2024.06.11

障害者雇用は、多くの企業にとって重要な取り組みとなっています。しかし、障害者雇用には多くの課題やデメリットが存在する一方で、企業や社会全体にとって大きなメリットもあります。

この記事では、障害者雇用における具体的な問題点と、それに伴うデメリットを明らかにしつつ、障害者雇用がもたらすポジティブな側面についても紹介します。企業が障害者雇用に取り組む際の参考として、バランスの取れた視点を提供できればと思います。是非最後まで読んでみてください。

 

現在の障害者雇用の実態・状況は?

現在の障害者雇用の状況は、法定雇用率の引き上げや雇用促進政策により改善が進んでいます。2021年には民間企業の法定雇用率が2.3%に引き上げられ、雇用される障害者の数は約59万7,786人と過去最高を記録しました​。

しかし、離職率の高さや地方での求人の少なさが依然として課題です。また、一部の企業では「数合わせ」のために障害者を雇用するケースがあり、実際に能力を発揮できる環境が整っていないことも問題です。

これらの課題を解決するためには、障害者が働きやすい環境の整備や企業の意識改革が必要です。特性に応じた業務の割り当てや支援が重要で、企業の生産性向上も期待されています。

 

障害者雇用の問題点とは?

障害者雇用は、法定雇用率を達成するために多くの企業が取り組んでいる重要な課題です。しかし、実際に障害者を雇用し、職場に定着させる上でさまざまな問題が存在します。以下では、主な問題点について詳しく解説します。

 

どのような仕事を任せればいいのか分かりにくい

企業が障害者を雇用する際、適切な仕事を任せることが難しいと感じることが多いです。障害者の特性や能力に応じた業務を見つけるためには、業務内容を詳細に分析し、適切に再設計する必要があります。

  業務内容の適切な分析

:業務を細かく分解し、各作業の内容や求められるスキルを明確にする。

障害者の能力に応じた仕事の割り当て

:障害者の特性やスキルに応じて、適切な業務を割り当てる。

支援ツールの導入

:作業の効率化や障害者のサポートを行うためのツールや設備を導入する。

 

​働く立場を明確に示すことが難しい

障害者が職場でどのような立場にあるのかを明確に示すことは、職場の一体感を高め、働きやすい環境を作る上で重要です。しかし、これを実現するのは容易ではありません。

明確な役割設定

:障害者の役割を明確にし、職場での位置づけをはっきりさせる。

定期的なコミュニケーション

:上司や同僚と定期的にコミュニケーションを取り、役割や業務内容についての認識を共有する。

研修や教育プログラム

:障害者と共に働く社員に対しても、障害に関する理解を深めるための研修を実施する​。

 

離職率が高い傾向にある

障害者雇用において、離職率の高さは大きな問題となっています。多くの障害者が職場に馴染めず、短期間で離職してしまうことが多いです。

職場環境の整備<:障害者が働きやすい環境を整えるために、物理的な設備や作業の柔軟性を提供する。

サポート体制の強化:メンター制度やジョブコーチなど、職場でのサポート体制を充実させる。

定期的なフォローアップ:障害者の職場適応状況を定期的に確認し、必要に応じて支援を行う​。

 

障害ごとに課題や問題点を明確にする必要がある

障害者雇用においては、障害の種類ごとに異なる課題や問題点が存在します。これらの課題を理解し、適切に対処することが障害者雇用の成功に繋がります。

身体障害の場合の問題点

 

身体障害者の雇用における主な問題点は、職場環境や業務内容の調整が必要なことです。具体的には以下の点が挙げられます。

  • 職場環境のバリアフリー化:移動のためのスロープやエレベーターの設置、机や設備の高さ調整など、物理的なバリアを取り除く必要があります。

  • 適切な業務の割り当て:身体障害の程度や種類に応じた業務を割り当てることが重要です。たとえば、手先の動作が難しい場合は、パソコン作業などを考慮する必要があります。

  • 安全対策:身体障害者が安心して働けるよう、緊急時の対応や避難経路の確保などの安全対策が求められます。

 

精神障害の場合の問題点

精神障害者の雇用においては、メンタルヘルスやコミュニケーションの問題が大きな課題

です。

以下の点が挙げられます。

  • 安定した勤怠の確保:精神障害者は体調の変動が大きく、安定して出勤することが難しい場合があります。そのため、フレキシブルな勤務時間の導入が必要です。

  • コミュニケーションの配慮:精神障害者は人間関係にストレスを感じやすいことが多いため、職場でのコミュニケーション方法を工夫する必要があります。

  • 定着支援:精神障害者の職場定着率は低いため、メンター制度や定期的なフォローアップが重要です​。

知的障害の場合の問題点

知的障害者の雇用においては、理解力や業務遂行能力に応じた支援が必要です。以下の点が挙げられます。

  • 業務内容の簡素化:知的障害者が理解しやすく、遂行しやすい業務を提供することが求められます。業務内容をシンプルにし、分かりやすく指示することが重要です。

  • 指導とサポートの強化:知的障害者は繰り返しの指導やサポートが必要なことが多いため、担当者が一貫してサポートする体制が必要です。

  • 社会的スキルの支援:職場での基本的なマナーやコミュニケーションスキルを習得するための支援が求められます​。

 

これらの課題に対処するためには、企業が障害ごとの特性を理解し、適切な支援を提供することが重要です。適切な対応を行うことで、障害者が職場で活躍しやすくなり、企業全体の生産性向上にも繋がります。

 

障害者を雇用するデメリット

障害者雇用は社会的責任として重要な取り組みですが、企業にとってはさまざまなデメリットや課題も存在します。以下に、具体的なデメリットについて説明します。

 

障害者雇用が未達成であることが公表される

企業が法定雇用率を達成していない場合、その事実が公表されることがあります。これは企業の社会的責任を果たしていないとみなされ、企業イメージの悪化につながる可能性があります。

また、法定雇用率を満たしていない企業は行政からの指導を受けることもあります。これらは、企業の信用を損なうリスクがあるため、企業は法定雇用率の達成に努める必要があります​。

 

障害者雇用の人数が不足していると罰則の対象になる

法定雇用率を満たさない企業には罰則があります。具体的には、障害者雇用納付金の支払いが義務付けられており、この納付金は企業規模や不足人数に応じて異なります。

例えば、法定雇用率が2.3%の企業で雇用不足が生じた場合、1人あたり月額5万円の納付金が課されることがあります。そのため、企業は経済的なプレッシャーを感じることになります​。

障害者が働くための環境整備が必要になる

障害者が働きやすい環境を整備するためには、物理的なバリアフリー化や特別な設備の導入が必要です。具体的には、以下のような対応が求められます。

  • バリアフリー化:車椅子を使用する社員のためにスロープやエレベーターを設置する。

  • 特別な設備の導入:視覚障害者のために点字ブロックや音声案内システムを導入する。

  • 作業環境の改善:聴覚障害者のために手話通訳や筆談器具を用意する。

 

障害者の育成やサポートが必要になる

障害者を雇用する場合、育成やサポートに多くのリソースを割く必要があります。以下のような点が挙げられます。

  • 特別な教育や研修:障害者特有のニーズに応じた教育や研修を行う必要があります。例えば、視覚障害者には点字や音声読み上げソフトの使用方法を教えるなどの対応が必要です。

  • サポート体制の整備:障害者が業務を遂行するためのサポート体制を整備する必要があります。例えば、メンター制度やジョブコーチの配置が考えられます。

  • 勤務時間の調整:定期的な通院や体調管理が必要な障害者のために、勤務時間の調整や柔軟な勤務形態を導入する必要があります。

 

障害者を雇用するメリット

先ほどはデメリットを紹介しましたが、ここでは障害者を雇用するメリットについて紹介します。

 

障害者を雇用することで企業のイメージやブランド価値が上がる

障害者を積極的に雇用することは、企業の社会的責任(CSR)を果たす手段として非常に有効です。「社会貢献を重視している企業」としてのイメージが向上し、企業のブランド価値が高まります。

また、障害者雇用は企業の多様性

(ダイバーシティ)と包摂性(インクルージョン)を示す指標となり、取引先や顧客、投資家からの信頼も向上します。

 

障害者雇用に関する助成金が受け取れる可能性がある

障害者を雇用する企業は、さまざまな助成金を受け取ることができます。たとえば、「特定求職者雇用開発助成金」や「障害者雇用安定助成金」などがあり、これらの助成金は障害者のための施設や設備の整備、介助者の配置などに対して支給されます。

 

業務を見直すきっかけとなり生産性が向上する

障害者を雇用する際には、業務内容や業務フローを見直す必要があります。このプロセスは、業務の無駄を排除し、効率化を図る良い機会です。結果として、障害者だけでなく、すべての従業員にとって働きやすい環境が整備され、生産性の向上につながります​。

 

障害者と一緒に働くことで従業員の多様性が身につく

障害者と共に働くことで、従業員の多様性への理解が深まり、社内の多様性が促進されます。多様なバックグラウンドを持つ従業員が共に働くことで、創造性や問題解決能力が向上し、企業の競争力が強化されます。また、従業員の間で相互理解や協力が進むことで、職場の一体感が高まり、働きやすい職場環境が作られます。

障害者の雇用が難しくなっている背景

近年、障害者雇用は重要な社会的課題として認識されている一方で、その実現には多くの困難が伴います。これは、特定の産業や企業に特有の課題が存在するためです。

 

障害者の雇用が難しい産業がある

いくつかの産業は、障害者の雇用が特に難しいとされています。例えば、製造業や建設業のような体力を要する作業が多い業界では、身体障害を持つ方々の作業環境を整えることが難しい場合があります。また、これらの業界では、安全性確保のために高度な注意が必要とされるため、障害者の雇用がさらに困難になります​。

 

障害者への教育の環境が整っていない

障害者が職場で成功するためには、適切な教育と訓練が不可欠です。しかし、多くの企業は障害者向けの教育環境を整備する余裕がない場合があります。

特に中小企業では、教育プログラムの設計や実施に必要なリソースが限られており、障害者が必要とする特別な支援を提供することが難しい状況です。

 

障害者を雇用するほどの余裕がない企業が多い

中小企業にとって、障害者を雇用するための余裕がないということも大きな課題です。多くの中小企業は、日々の経営やコスト管理に追われており、障害者雇用に必要な追加の設備投資や人材支援を行う余裕がありません。

そのため、法定雇用率を満たすことが難しくなり、結果的に罰則の対象となることがあります​。

 

これらの背景から、障害者の雇用を促進するためには、産業ごとの特性を考慮した支援策や、企業規模に応じた柔軟な対応が求められます。また、障害者の教育環境を整備し、企業が持つ課題を解決するための具体的な支援策が必要です。

 

障害者雇用を円滑にするためのポイント

障害者雇用の実現にはさまざまな工夫が必要です。以下では、障害者雇用を円滑に進めるための具体的なポイントを紹介します。

会社の方針を固めて従業員に理解してもらう

まず、企業全体としての障害者雇用の方針を明確にし、それを全従業員に共有することが重要です。経営層や人事部が、障害者雇用の目的や意義、具体的な採用方針をしっかりと確認し、社内で広く周知することが求められます。現場の従業員が障害者雇用の意義を理解し、協力体制を築くことで、職場定着がスムーズに進むでしょう。

  • 経営層の理解とリーダーシップ:障害者雇用の重要性を認識し、率先して推進する姿勢を示す。

  • 社内研修の実施:障害に対する理解を深めるための研修を実施し、全従業員が協力的にサポートできる環境を作る。

 

障害者を受け入れる環境を整備する

障害者が働きやすい職場環境を整えることが、障害者雇用の成功には不可欠です。物理的なバリアフリー化や作業環境の整備、必要な設備の導入を行い、障害者が安心して働ける環境を提供することが重要です。

  • バリアフリー化:スロープやエレベーターの設置、机や設備の高さ調整などを行う。

  • 適切な設備の導入:視覚障害者のための点字ブロックや音声案内システムの導入、聴覚障害者のための筆談器具や手話通訳の手配など​。

  • サポート体制の構築:ジョブコーチやメンターを配置し、障害者と現場の従業員の両方をサポートする体制を整える。

 

雇用する際には障害の理解と情報整備を行う

採用時に障害の特性や必要な配慮を十分に理解し、それに基づいた情報整備を行うことが重要です。採用プロセスにおいて、障害者がどのような支援を必要としているのかを明確にし、その情報を社内で共有することが求められます。

  • 障害特性の把握:面接や事前のヒアリングで障害者の特性や必要な支援を把握する。

  • 情報の共有:採用後、障害者の特性や支援内容を現場の担当者に適切に伝える。

  • 業務の適切な割り当て:障害者の能力や特性に応じた業務を割り当て、無理なく働ける環境を整える​。

まとめ

障害者雇用には、コストやサポートの負担といった問題があります。しかし、これらを乗り越えることで、企業には多くのメリットがあります。企業のイメージアップ、助成金の受給、業務の効率化、多様な視点を持つチームの形成などです​。

企業が障害者雇用に積極的に取り組むことで、成長しながら社会全体に貢献することができます。これから、障害者雇用を進めて、より良い職場環境を作っていきましょう​。

 

パートナー企業様

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