更新日 2022.12.12
厚生労働省は、障害者雇用対策として障害者雇用促進法にて、企業に対し「雇用する労働者の2.3%に相当する障害者を雇用すること」を義務付けています(障害者雇用率制度)。
常用労働者が一定数以上である企業などが、障害者雇用率制度の条件を満たさない場合には「障害者雇用納付金」を支払わなければなりません。また法定雇用率が未達成の企業には、行政指導として「障害者雇入れ計画作成命令」があり、改善が見られない場合に企業名が公表されます。
企業名を公表されないようにするためにはもちろんですが、障害者の希望や能力、適性を十分に活かしながら障害の特性などに応じて活躍することを日ごろから考え、企業として障害者雇用をしていかなければなりません。
その結果、健常者と障害者とが一緒に働くことが当たり前の社会を作っていくのです。
厚生労働省の令和2年6月1日付のデータによると、民間企業に雇用されている障害者数は57.8万人です。常用労働者に占める障害者労働者数(実雇用率)は、2.15%となっています。このなかで、障害者雇用率を達成している企業の割合は48.6%でした。データを集計し始めた平成16年(実雇用率:1.46%)から見ると、右か上がりの結果となっています。
また現在は大企業を中心に障害者雇用の取り組みが進んでいますが、平成20年ごろまでは中小企業が中心となり日本の障害者雇用を牽引してきました。このなかで、多くの中小企業が「重要な経営課題」として感じていることは、人材の確保や育成などの「人材面の課題」です。
障害者雇用で期待できることとして、以下の3つが挙げられます。
● 共生社会の実現
● 労働力の確保
● 生産性の向上
障害者雇用の取り組みを推進することによって、多様性への理解が進み、その結果女性や外国人、高齢者などが活躍できる職場づくりもできるのです。また、多様性の効果により組織に活力が生まれ、企業全体として魅力のある職場となって、より人材確保の可能性が大きくなります。
障害者雇用率制度では、企業に対し「雇用する労働者の2.3%に相当する障害者を雇用すること」を義務付けています。「2.3%」という数字が法定雇用率です。なお法定雇用率が2.3%なのは、雇用する労働者が43.5人以上の民間企業の場合です。
例えば常時雇用する労働者が120人の民間企業の場合は、何人の障害者を雇用すればよいのでしょうか。
● 120人×2.3%=2.76人
小数点以下は切り捨てとなるため、上記の例の場合は「2人」の障害者雇用義務があります。
常時雇用する労働者とは、以下の状態を指します。
1週間の所定労働時間が20時間以上で、1年を超えて雇用される見込みがある、
または1年を超えて雇用されている労働者をいいます。このうち、1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の方は、短時間労働者となります。
引用:障害者雇用のご案内 ~共に働くを当たり前に~│厚生労働省
なお、パートやアルバイトであっても上記要件に当てはまれば、常時雇用する労働者に含まれます。
障害者雇用率の対象となる障害者とは、以下の人達です。
● 身体障害者:身体障害者手帳1~6級に該当する人
● 知的障害者:児童相談所などで知的障害者と判定された人
● 精神障害者:精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人
なお各種手帳が交付されていない「その他の障害」である、以下の人は対象となりません。
● 発達障害者
● 難病
● 低身長症などの疾患
● 精神障害には至らない精神疾患、もしくは高次脳機能障害などにより、長期にわたり職業生活に相当の制限を受けた人、もしくは職業生活を営むことが著しく困難な人
障害者雇用率制度における障害者の算定方法は、以下のとおりです。
● 週所定労働時間30時間以上の身体障害者、知的障害者、精神障害者は「1」。重度身体障害者、重度知的障害者は「2」
● 週所定労働時間20時間以上30時間未満の身体障害者、知的障害者、精神障害者は「0.5」。重度身体障害者、重度知的障害者は「1」
なお、週所定労働時間20時間以上30時間未満の精神障害者に対しては、以下の特例措置があります。
精神障害者である短時間労働者で、新規雇い入れから3年以内の方 または精神障害者保健福祉手帳取得から3年以内の方かつ、令和5年3月31日までに、雇い入れられ、精神障害者保健福祉手帳を取得した方は、0.5ではなく1と算定します。
引用:障害者雇用のご案内 ~共に働くを当たり前に~│厚生労働省
「障害者を1人雇ったので、障害者雇用率の対象となる障害者も1人」ではないので注意が必要です。
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