障がい者雇用のはじめかた虎の巻#2「障がい者を雇用するときに必要な配慮事項」 | 障がい者向け求人ディンプルチャレンジ

障がい者雇用のはじめかた虎の巻#2
「障がい者を雇用するときに必要な配慮事項」

更新日 2022.12.26

障がいのある人を雇用するときには、すべての事業主に対して「合理的配慮」の提供が義務付けられています。合理的配慮は、障がいのある人が就労する際に生じる支障を改善するための措置です。

障がい者雇用における合理的配慮の法的根拠

2016年4月1日に改正された「障害者の雇用の促進等に関する法律」(障害者雇用促進法)では、事業主に対して下記の3点が義務付けられました。

1.障害者への差別禁止

障がい者であることを理由に、不当な差別的取り扱いをすることは禁止されています。

2.合理的配慮の提供

事業所の規模や業種にかかわらず、事業主には障がい者に対する合理的配慮の提供義務があります。

3.相談体制の整備、苦情処理、紛争解決の援助

事業主には、障がい者からの相談に対応する体制の整備が義務付けられています。また、障がい者からの苦情を自主的に解決することが努力義務とされています。


対象となるのは、身体障がい者や知的障がい者、精神障がい者、発達障がい者などで、障害者手帳を持っていない人にも適応されます。心身に障がいがあり、「長期にわたり職業生活に相当の制限を受けている」または「職業生活を営むことが著しく困難」である人が対象です。

障がい者雇用に必要な合理的配慮とは

雇用における合理的配慮とは、障がい者に対して事業主が行う、下記のような措置を指します。

  • 募集及び採用時においては、障害者と障害者でない人との均等な機会を確保するための措置
  • 採用後においては、障害者と障害者でない人の均等な待遇の確保または障害者の能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するための措置

出典:厚生労働省 改正障害者雇用促進法(事業主向け)周知用パンフレット https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000635063.pdf


どのような措置をとるのかについては、事業主と障がい者が十分に話し合って決定する必要があります。また、事業主は合理的配慮の提供が「過重な負担」にならないかどうか検討する必要があります。

合理的配慮の提供範囲と違反による罰則

合理的配慮の提供については、「事業主に対して過重な負担を及ぼすことになる場合は除く」とされています。過重な負担となる措置については、下記の要素などをふまえて事業主が判断します。

  • 1.事業活動への影響の程度
  • 2.実現困難度
  • 3.費用負担の程度
  • 4.企業の規模
  • 5.企業の財務状況
  • 6.公的支援の有無

事業主が通常必要とされる注意を払っていても、相手が障がい者であることを知ることができなかった場合には、合理的配慮の提供義務違反にはなりません。
また、現状では合理的配慮の提供義務に違反しても罰則はありませんが、障がい者からの相談によって行政指導を受けたり、損害賠償を請求されたりする可能性があります。

障がい者を募集・採用するときの合理的配慮

障がい者を雇用する際には、募集や採用の段階から合理的配慮を提供する必要があります。基本的には、募集や採用にあたって支障となっていることや必要とする配慮について、障がい者から事業主へ申し出ることになっています。
募集や採用の段階で必要な合理的配慮としては、下記のような措置が考えられるでしょう。

  • 視覚障がい者に対して、労働条件や求人条件を読み上げて説明した
  • 聴覚障がい者に対して、面接時に手話のできる人の同席を認め、面接のフォローを行った
  • 身体障がい者に対して、入口から近い場所を面接場所に設定し、すべての試験が一つの会場で終えられるようにした
  • 内部障がいのある人に対して、身体的な負担を軽減するために面接時間を短く設定した

同じ障がいをもつ人であっても、必要とする配慮には個人差があります。また、障がいの程度によっては、本人の意向が十分に確認できないこともあるでしょう。
事業主は、障がい者本人やその家族、就労支援機関のスタッフなどと話し合い、個別性にあわせた措置を講じる必要があります。
また、事業主への過重な負担によって、希望する措置を講じられない場合には、その旨を本人や家族などに伝えることになっています。

障がい者を雇用する場合には、合理的配慮の法的根拠や必要となる措置について、従業員に周知しておくことが大切です。障がい者向けの求人募集を出すことが決まったら、合理的配慮に関する社内教育もあわせて進めていく必要があるでしょう。

まとめ

  • 障がい者を雇用する事業主には、合理的配慮の提供が義務付けられている
  • 合理的配慮の提供義務に違反した場合、行政指導の対象となることや、損害賠償請求を受けることがある
  • 合理的配慮の提供義務は、募集や採用の段階から発生しており、措置の内容については事業主と障がい者が話し合って決める必要がある

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