障がい者雇用のはじめかた虎の巻#3「障がい者雇用とは?法的根拠と義務違反による企業への影響」 | 障がい者向け求人ディンプルチャレンジ

障がい者雇用のはじめかた虎の巻#3
「障がい者雇用とは?法的根拠と義務違反による企業への影響」

掲載日 2023.01.25

障がいのある人を雇用する場合には、法律に基づいていくつかのルールが定められています。今回は、障がい者雇用の法的根拠や一般雇用との違い、法的義務を果たせなかった場合の対応について説明します。

障がい者雇用とは

障がい者雇用とは、国や地方公共団体、企業などで、障がいのある人を雇い入れることをさします。「障害者基本法」では、障がいがある人の自立や社会参加を支援するため、事業主に対して以下のことを義務付けています。

事業主は、障害者の雇用に関し、その有する能力を正当に評価し、適切な雇用の機会を確保するとともに、個々の障害者の特性に応じた適正な雇用管理を行うことによりその雇用の安定を図るよう努めなければならない。

出典:障害者基本法第十九条2

さらに、障がい者の職業安定を図ることを目的とした「障害者雇用促進法」においては、一定数の従業員を雇用している事業主に対して、従業員に占める障がい者の割合を「法定雇用率」以上にすることを義務付けています。

障がい者雇用と一般雇用の違い

障がいのある人だけを対象とした雇用枠を「障がい者雇用枠」といい、一般雇用枠とは応募や採用の条件などが異なります。原則として、障がい者手帳を持っている人を対象とした雇用枠であり、一般雇用に比べて障がい特性に応じた配慮が受けやすくなるのが特徴です。
障がい者手帳には、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者手帳の3種類があり、それぞれの交付条件については下記の通りです。

  • 身体障害者手帳

    身体機能に一定以上の障がいがあると認められた人に交付されます。対象となる障がい分類として、視覚障がいや聴覚障がい、肢体不自由、心臓機能障がい、呼吸機能障がいなどがあります。
  • 療育手帳

    知的障がいがあると判定された人に交付されます。
  • 精神障害者保健福祉手帳

    一定程度の精神障がいがある人に交付されます。対象となる障がい分類として、統合失調症や気分障がい、てんかん、発達障がいなどがあります。

企業における障がい者雇用の法的義務

従業員が一定数以上の企業には、全従業員に占める身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者の割合を法定雇用率以上にする義務があります。企業における法定雇用率は、2.3%です。(2022年12月現在)
従業員を43.5人以上雇用している企業では、障がいのある人を1人以上雇用する必要があり、「障害者雇用状況報告」(ロクイチ報告)によって、毎年6月1日時点での障がい者の雇用状況をハローワークに報告しなければなりません。

法的義務を達成できない企業への対応

法定雇用率を達成できない企業は、「障害者雇用納付金」の納付や、ハローワークによる行政指導の対象となります。

障害者雇用納付金制度

法定雇用率が未達成の企業で、常用労働者が100人超である場合には、障害者雇用納付金を納める必要があります。障がい者を多く雇用している企業の負担を減らすことで、企業間の公平を保つとともに、障がい者雇用の水準を高めることが目的です。
障害者雇用納付金は、不足1人あたり月額5万円となっています。(2022年12月現在)

ハローワークによる行政指導

障がい者の実雇用率が低い企業に対しては、ハローワークから雇用率達成指導が行われ、雇入れ計画作成命令が発出されます。
雇入れ計画の実施状況が悪い企業に対しては、適正実施勧告が行われ、勧告後も雇用状況の改善がとくに遅れている場合には、企業名の公表を前提とした特別指導が実施されるのです。
行政指導を実施しても、障がい者の雇用状況に改善が見られない場合には、企業名が公表されます。企業名の公表は、社会的信用や従業員の帰属意識を低下させ、企業間の取引に影響を及ぼしたり、人材確保を難しくする要因になったりするでしょう。

まとめ

  • 企業における障がい者雇用は、障害者基本法や障害者雇用促進法に基づく義務である。
  • 従業員数43.5人以上の企業では、障がい者を1人以上雇用する必要がある。
  • 法定雇用率を達成できない場合には、障害者雇用納付金の徴収や、雇用率達成指導の対象となる。
  • 行政指導を受けても雇用状況を改善できなかった場合、企業名の公表によって社会的信用が低下するおそれがある。

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