障がい者法定雇用率が未達成の企業はどうなる?企業名公表までの流れについて解説 | 障がい者向け求人ディンプルチャレンジ

障がい者法定雇用率が未達成の企業はどうなる?企業名公表までの流れについて解説

掲載日 2023.05.09

障害者雇用促進法に基づき、従業員43.5人以上の企業では、従業員に占める障がい者の割合を法定雇用率以上にする義務があります。法定雇用率を達成できない企業に対しては、国が企業名を公表するなど、いくつかのペナルティが課されます。
この記事では、法定雇用率未達成の場合に企業名が公表されるまでの流れと、令和4年度の行政指導状況について紹介します。

法定雇用率が未達成の企業はどうなるのか

2023年4月現在、企業における法定雇用率は2.3%です。厚生労働省が発表した「令和4年障害者雇用状況の集計結果」によれば、法定雇用率の未達成企業数は55,684社となっています。
法定雇用率が達成できない企業は、障がい者雇用納付金を納めたり、ハローワークの行政指導を受けたりする必要があります。

障がい者雇用納付金制度

法定雇用率未達成企業のうち、常用労働者が100人を超える企業からは「障がい者雇用納付金」が徴収されます。納付額は、不足1人あたり月額50,000円です。
納付金は、法定雇用率を達成している企業の報奨金などに使われます。

障がい者雇用率達成指導

障がい者の実雇用率が低い企業には、ハローワークによる「雇用率達成指導」が実施されます。
従業員43.5人以上の企業では、毎年6月1日時点の障がい者雇用状況をハローワークに報告する義務があります。この雇用状況報告において、実雇用率が低い企業に対しては、ハローワークが障がい者雇用の推進指導を実施するのです。
不足数がとくに多い企業に対しては、厚生労働省本省からの直接指導が入ることもあります。

ハローワークの行政指導によって改善が見られない場合などには、厚生労働省のホームページ上に企業名や行政指導の経過、障がい者雇用状況の推移などが公表されます。

雇用状況報告から企業名公表までの流れ

法定雇用率を達成できなかった場合、すぐに企業名が公表されるわけではありません。ハローワークへの雇用状況報告から、企業名の公表に至るまでの流れは下記の通りです。

1.雇用状況報告

障害者雇用促進法第43条に基づき、企業は6月1日時点での障がい者雇用状況をハローワークに報告します。

2.雇入れ計画作成命令

法定雇用率未達成企業のうち、以下のいずれかに該当する場合には、公共職業安定所長が「障がい者雇入れ計画」の作成命令を発出します。

  • 実雇用率が全国平均実雇用率未満であり、かつ不足数が5人以上の場合
  • 実雇用率に関係なく、不足数10人以上の場合
  • 雇用義務数が3人から4人の企業(労働者数150人〜249人規模企業)であって雇用障がい者数0人
出典:厚生労働省「障害者の雇用に向けて〜障害者雇用に取り組む企業をハローワークは支援いたします。是非ご相談ください!!〜」


該当企業は、命令発出後の1月1日から2年間の雇入れ計画を作成し、計画に沿って障がい者を雇い入れる必要があります。

3.雇入れ計画の適正実施勧告

障がい者の雇入れ計画を怠っている場合などには、公共職業安定所長が雇入れ計画の適正な実施の勧告を行うことがあります。

4.特別指導

障がい者の雇入れ計画に基づく雇用が進んでいない場合、企業名の公表を前提とした特別指導の対象となります。特別指導の対象となるのは、「実雇用率が最終年の前年の6月1日現在の全国平均実雇用率未満」または「不足数が10人以上」の場合です。

5.企業名の公表

特別指導を実施しても、障がい者の雇用状況に改善が見られなかった場合には、企業名が公表されます。

企業名の公表後も、雇い入れ計画終了まで行政による指導は継続されます。また、指導を受けても障がい者雇用が進まない場合には、企業名が再公表されます。

令和4年度の行政指導対象企業数と産業別の内訳

令和5年3月に厚生労働省が発表した資料によれば、令和2年4月1日から2年間の雇入れ計画作成命令を受けた企業は250社でした。そのうち、企業名の公表を前提とした特別指導を受けた企業は55社であり、公表基準に該当した5社の企業名が公表されています。
令和4年度に特別指導を受けた企業のほとんどは、従業員1,000人未満規模の企業であり、産業別の内訳では、「卸売業、小売業」の企業が最も多い状況です。

民間企業に対する特別指導等の結果等

(表1)対象企業の状況


1,000人以上規模企業 6社
1,000人未満規模企業 49社


建設業 2社
製造業 8社
情報通信業 8社
運輸業、郵便業 2社
卸売業、小売業 11社
金融業、保険業 1社
不動産業、物品賃貸業 3社
学術研究、専門・技術サービス業 2社
宿泊業、飲食サービス業 2社
生活関連サービス業、娯楽業 2社
教育、学習支援業 1社
医療、福祉 5社
複合サービス事業 1社
サービス業(他に分類されないもの) 7社
合計 55社
出典:厚生労働省「障害者の雇用の促進等に関する法律に基づく企業名公表について」(令和5年3月29日発表)



今回企業名を公表された5社のうち、3社は再公表となった企業です。また、公表猶予の企業は10社あり、今後も雇用状況が改善されない場合には企業名が公表されます。

まとめ

障がい者法定雇用率を達成できないことによって企業名が公表されれば、社会的信用が低下し、採用活動などに影響が出る可能性があります。企業名の公表に至らずとも、行政指導を受けることによって、人事担当者などには大きな負担がかかるでしょう。
障がいのある従業員を雇用するまでには、雇用形態の検討や業務選定など、さまざまな準備が必要です。一般雇用よりも時間やマンパワーが必要になりますので、計画的に社内環境の整備を進めていきましょう。

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