掲載日 2024.03.14
障害を持っている人が自分の個性を生かして活躍することができる障害者雇用枠というのがあるのはご存じでしょうか?
この記事では障害者雇用について一般雇用との違いや制度などと併せて詳しく説明していきます。
また、障害者雇用で働くメリットデメリットも紹介しているので受け入れる事業主もこれから障害者雇用で働く方もぜひ参考にしてください。
障害者雇用について名前は聞いたことがあるものの、実際どのような制度で現在どのような状況なのか知ることはあまりないかもしれません。
ここでは障害者雇用の基礎知識についてや障害者雇用の状況等、詳しく説明していきます。
障害者雇用とは、知的障害や身体障害等の障害によって日常生活を送ることが困難な方が障害のない人と同じように働けるように特別な雇用を受けられる制度のことです。
引用元:障害者雇用の 基礎知識
この障害者雇用の目的は、社会参加や自立のためのもので、障害を持っていても活躍できる場を増やそうという試みです。
制度によってひとり一人の障害の特性や能力を生かし、活躍ができるように様々な合理的配慮が行われています。
また、2024年には障害者雇用は一定数の従業員がいる企業に義務化され、活躍できる場も多く増えてきています。
厚生労働省が発表した令和5年 障害者雇用状況の集計結果によると、令和5年の障害者雇用状況は過去最高の雇用率等、どの企業も積極的に障害者を雇用していることがわかりました。
民間企業では64万人を超える障害者が障害者雇用で働いており、精神障害者が前年度より18%も増加しています。
しかし、法定雇用率未達成企業も58%とまだまだ障害者雇用に積極的でない企業もあることがわかりました。
厚生労働省の障害者の雇用に関する事業所アンケート調査結果でも積極的に取り組みたいと思わないが、ある程度仕事のできそうな人が応募してくれば雇うかもしれないの項目にチェックを入れた方が大半を占めており、障害者雇用は難しい問題だと言えるでしょう。
一般雇用とは応募したい会社の条件に当てはまっていれば誰でも応募できる人材募集先のことです。
目に見えない障害であれば、障害を持っていても一般雇用の募集先に応募することができます。
障害者雇用が一般雇用と大きく違う点は、障害を持っている証明である手帳を持っている必要があることです。
この条件を満たし、就職が決定すると障害を持っている方は特性に合わせた環境等、合理的配慮を受けながら働くことができます。
障害者雇用で働くためには一定以上の障害がある方に交付される手帳を持っていることが条件になっており、手帳は3種類の分類に分かれています。
聴覚障害や肢体不自由等身体的に障害を持っている人が受けられる障害者手帳や知的障害者が受けられる療育手帳、精神疾患を対象とする精神障害者保健福祉手帳があります。
そのため、以前は精神障害者保健福祉手帳を必要とするうつ病等の精神疾患の方は対象外でしたが2006年4月より法改正により追加になりました。
精神障害者保健福祉手帳は初診から6か月経過していなければならなかったり、2年に一度更新もあり、条件から外れる可能性もあることを覚えておく必要があります。
ここまでは障害者雇用で働く条件や一般雇用との違いを書いてきました。
障害者雇用についてほとんど知っていることがなかった方にとっては、障害者雇用で働くことのイメージがまだまだ掴めていないかと思います。
そこで実際に、障害者雇用で働くとどんないいことがあるのか、障害者側のメリットデメリットをまとめましたので参考にしてみてください。
障害者雇用で働くことは難しいと考えられていますが、一般雇用よりも受かりやすいのが現状としてあります。
障害者枠は法定雇用率によって定められており、一般雇用従業員が多ければ多いほど採用枠が多いため受かりやすいのです。
法定雇用率が未達成の企業も多く存在しています。
ディンプルチャレンジでは1,000件を超える求人情報を取り扱っており、自分が働きたい職種などを細かく設定することで自分の活躍できる場を選ぶことが可能です。
環境面については当事者と企業側で話し合い、障害者が求める配慮は可能な限り行わなければなりません。
これは障害者差別解消法で合理的配慮が義務化になったため、配慮を行わなかった場合は行政の指導や勧告などが行われます。
ただし、事業主に過度な負担がかかってしまう場合は、実行しなくてもよいと決められているため、お互いの話し合いで納得することが何よりも大事になってきます。
また、疲れやすい障害者によっては労働時間が少ない働き方もでき、待遇面はよいと言えるでしょう。
合理的配慮によって障害者が働きやすい環境が見つかれば、定着率は良くなり長期的に働く障害者の方もいるでしょう。
しかし、障害を持っている人のなかには給与面などから一般雇用で働きたいと考え、障害を隠して一般雇用を選んでいる方もいます。
一般雇用を選んだ障害者よりも障害者雇用で働く方が離職率が低く定着している結果が出ており、障害者が一般雇用で働くことにはかなりの努力が必要になるのがわかります。
障害者雇用の求人は受かりやすいものの、職種が限られており、必ずしも自分の働きたい職種の求人が出ているとは限りません。
自分の興味のない職であれば、集中力ややる気が低下し、辞めてしまう障害者の方も少なくはないでしょう。
さらに、障害者手帳を所有していることが前提として条件にあるので、手帳を持つほど生活に支障はないグレーゾーンの方たちには障害者雇用で働くことができず、一般雇用でかなり大変だというデメリットがあるでしょう。
障害者が大きな企業で働くことは、いろいろな一般雇用従業員と出会うということになりますので、受け入れられない人もいるでしょう。
障害者は人の気持ちに敏感な方が多いため、そのような重圧の中仕事をこなさなければなりません。
環境がいい企業に就職できればいいですが、面接時にどんな人がいるのかは把握できないのでリスクを伴うことがデメリットとなってきます。
障害者雇用を行う企業は増えましたが、定着面については改善が見られずに就職後3カ月で80%、1年では61%と日が経つにつれて辞めてしまう方が多いようです。
特に精神障害を持っている方の離職率はかなり多く、1年後に半分以上の方が辞めているのが現状となってしまっています。
理由としては人間関係や労働条件が合わない等が挙げられています。
また、企業側も業務をお願いできないことや設備や支援などの態勢が不十分等を課題として挙げており、定着率にはまだまだ課題が多いことがわかります。
障害者雇用枠で働くうえで不安なことも多いかと思われます。
障害者雇用の制度として障害者雇用促進法や法定雇用率、更に差別禁止、合理的配慮義務について説明していきます。
障害者雇用促進法とは障害を持っている人が働く場所の安定を図ることを目的に作られた法律です。
この法律ができた当初は精神障害は対象に入っておらず、名称も1960年当時は身体障害者雇用促進法という名前でした。
それから何度も改正を行い、1987年には名前も障害者雇用促進法に変更され、1998年には知的障害者、2018年には発達障害も対象となりました。2024年には雇用するべき人数が増える等、障害者の為の障害者雇用促進法は改正が今も行われています。
国や企業等がある一定数の従業員がいる際に、法定雇用率が定められている人数以上の障害者を雇用しなければならないという制度です。
障害者雇用における法定雇用率とは障害者雇用促進法43条第1項に基づき、事業主が常時雇用している労働者のうち一定割合は障がい者を雇用しなければならないことが義務付けられたものです。
従業員が一定数以上の規模の事業主は、従業員に占める身体障害者・知的障害者・精神障害者の割合を「法定雇用率」以上にする義務があります。 民間企業の法定雇用率は2.3%です。(障害者雇用促進法43条第1項)
法定雇用率は障害者雇用促進法の前身となる1960年に制定された身体障害者雇用促進法で初めて定められて1976年に義務化されて以来、何度も改正が行われて段階的に引き上げられてきました。
障害者法定雇用率は年々上がっており、法定義務化された1976年では1.5%だったのが2024年4月からは2.5%と引きあがっています。
この法定雇用率は今後も引きあがる予定で、2026年には2.7%に上がるとされています。
障害者が活躍できる場が増えることはとてもいいことですが、企業などの負担が増えるのも事実であると言えるでしょう。
参照元:事業主の方へ|厚生労働省
差別禁止、合理的配慮義務化にもつながっている障害者差別解消法から説明しています。
障害者差別解消法とは2013年に制定された不当な差別を禁止することと、合理的配慮を求められる法律です。
この法律では、正当な理由なく障害者を差別することを禁止しており障害を理由に仕事を与えない等の行動が対象となります。
何かあったら責任が取れないや出来ないであろうという理由なども差別の対象となるため禁止されています。
合理的配慮とは車いすを使用している身体障害者のためにスロープを設置したり、気持ちが不安定になった際に落ち着くことができる休憩スペースを設けるなどの平等に社会参加ができるようにされた工夫のことです。
この配慮を行うのは国や自治体はなどはもちろん、ボランティア団体なども事業者に含められます。
2024年の4月からは法改正により、民間企業も努力義務から義務化され、ルールや設備等の変更や調整を行うことが必要になります。
障害者法定雇用率が2024年の4月から2.3%から2.5%に引きあがることになり、それと同時に障害者を雇用しなければならない事業主の範囲も変更となりました。
これまで従業員数が40人以上に対し1人だったのが、
2024年の4月から改正により37.5人以上となりました。
従業員数のカウントは雇用形態に関わらず30時間以上働く場合 1人とカウントし、20時間〜30時間未満 0.5人と定められています。
障害者のカウントも細かく設定されており、重度身体障害者や重度知的障害、精神障害者の特定短時間労働者は0.5人とされています。
特定短時間労働者とは週10時間以上20時間未満の雇用障害者のことです。
障害者雇用を主とした就職・転職サイト『ディンプルチャレンジ』の求人の中からピックアップしたものを求人例として引用します。
短時間勤務や未経験OKの企業も多くありましたのでぜひ参考にされてみてください。
専任のアドバイザーなども在籍しており、不安を抱えた障害者の方も安心して仕事探しができるサポートなどもありますのでチェックしてみてください。
こちらの求人は、自動車シートカバーの生産スタッフを募集しています。
仕事内容は、工業用ミシンを使用して、5名程度のチームで協力して様々なパーツを縫い付けるライン作業を行います。
週休2日制(土日)を採用しており、面接は1回のみと長引いてしまうかもしれない就職・転職に不安と感じる方におすすめです。
初めはリーダーが丁寧に指導する教育期間があり、未経験の方でも安心してスキルを磨くことができます。
賞与もありますので、興味がある方はぜひご応募ください。
引用元:【障がい者雇用】軽作業 その他軽作業(ID:2483)|障がい者向け求人ディンプルチャレンジ
大手不動産グループのホテルでの事務・オフィスワークを募集しており、未経験でもこの仕事に就くことができます!
PC基本操作ができる方は歓迎しているのでPCが得意だったり、興味がある方は応募してみてはいかがでしょうか?
社員優待があり、20代・30代を中心に活躍中となっているようです。
仕事内容は、軽作業やPC入力、客室サポート、清掃など、幅広い業務経験可能。サポートが必要な場合、柔軟に対応し配慮を受けられます。
引用元:【障がい者雇用】事務・オフィスワーク その他オフィスワーク・事務(ID:2081)|障がい者向け求人ディンプルチャレンジ
人気アパレルショップでの販売スタッフの求人です。
未経験も歓迎しており、 シフトも自由で週3日〜、実働4時間相談可となっています。
笑顔での接客、商品陳列・整理、レジ対応など。
流行のブランドでリーズナブルな価格帯の商品を扱い、ECサイトでも人気です。
シンプルな業務から始めて成長できる環境なので安心して働くことができそうですね。
正社員登用制度あり、様々なライフスタイルに合わせた働き方が魅力!20代〜40代、子育て中の方も活躍しているので人に関わるお仕事がしたい人は応募してみるのもいいかもしれませんね。
引用元:【障がい者雇用】接客・販売 販売(アパレル:レディース・メンズ・キッズ)(ID:2332)|障がい者向け求人ディンプルチャレンジ
ディンプルチャレンジは総合人材サービス企業の当社が行っている障害者の採用強化を目的とした就職・転職サイトです。
ディンプルチャレンジでは障害者の就職・転職の求人募集はもちろん、仕事内容についての役立つ情報を提供したり、細かく条件を設定して求人検索ができるサイトとなっています。
就業時間や労働時間を自身で決められるフレックス制度等も検索としてあるため、様々な事情を抱えた障害者にとってはかなり良いサイトと感じることでしょう。
現在、障害者雇用で働きたいと探している方は、ディンプルチャレンジで細かく設定・検索し、ご自身の活躍できる場を探してみるのはいかがでしょうか?